第6回山灯り塾の軌跡

第1日目 5月22日(日)
 今年は第一日目のカリユラムを大幅に変更。今まで少し短かった千田先生によるデザイン講習をたっぷり2時間とり、効果的な光の見え方・杉檜和紙による透過光の色・安全な光源と素材との距離などをレクチャー。昼食後、和紙・吉野材・割箸などの素材学習も十分とり、吉野の素材の優位性を学んでいただいた。午後2時から吉野林業見学ツアーに出発材の現場の見学ツアーの開始。昨年までは割箸・和紙・製材などの製造過程のすべてを見学してもらったが、今年は山灯りの基本となる森林資源のシンボルである川上村にある樹齢250年生の巨大杉の見学を行う。塾生は2台のバスに分乗し、車内ではスタッフが和紙や割箸や吉野地域の歴史や文化をガイド代わりを務める。そして45分かけて目的の樹林へ到着。ここで開催する吉野杉のレクチャーは、現場の迫力で本当に全員が真剣。木の気で元気になった塾生が帰途に着き、第1日目は終わる。この日体験したことを元に、塾生はそのデザインを1ケ月以上をかけて構想するのである。

第2日目 7月2日(土)
 いつもなら2日目は1ヵ月後であるが、今年はスタッフ・会場の都合上2日目は7月2日となった。例年通り2日目の会場は、県立吉野高校へと移る。この日までにデザインを起こし、それを作る為に必要な素材を実行委員会までFAXやメールで注文している。2日目の受付は注文した材料代を支払うことから始まる。但し、電球やソケットやケーブルは大光電機鰍ウんのご好意で、受講生には無料配布させていただく。そして10時に授業開始。しかし、すべての受講生が作業を開始できる訳ではない。何回か来ている塾生や、モノづくりになれている塾生は、吉野高校の実習棟ですぐに加工にかかる。しかし、モノづくりが初めてで、まだイメージがわかない人は、別の教室に移動し、千田先生の補習を受けることが出来る。又和紙も自分自身で漉いた紙を使いたいという人には、自分で紅葉など思い思いのトッピングを入れ漉く事も出来る。
 吉野高校の林業林産科の教室には、切断する丸鋸や表面を磨くサンダーや、細かな作業が出来る糸鋸があるが、今年の参加者はノコギリやカッターナイフや、手動糸鋸等自分で簡単な工具を持ってこられたので、作業場で込み合うこともなかった。そしてあっという間に午後4時となり、本日の事業終了となる。ここからは、オプションで希望者が千田先生の工房「夢幻楼」へと向う。来年の世界遺産にも登録される修験道の根本道場である蔵王堂が眼下120m下に見える「夢幻楼」には、吉野の景色から作られた千田先生の「山灯り作品」が並ぶ。この作品も塾生の作品の大いなるヒントともなっている。

山灯り交流会
塾生の多くが県外から来られるので、2日目・3日目を連続で行い、土曜日には吉野で宿泊するスタイルとなっているので、この機会を捉え都会の塾生と地元のスタッフが交流する場を設けている。交流会参加者は吉野山の宿泊施設に向かう。今年は、地元の人間と都会の参加者がお互いに交流出来るよう、参加者とスタッフは受付で杉・桧・桜・松・桃のカードを引き、各テーブルに別れてもらう。大光電機の中尾部長祝辞と千田先生の乾杯の音頭で交流会は開始。各テーブルのスタッフリーダーが自己紹介やこの塾に来た目的などを話してもらい、 地元スタッフは各自の携わっている仕事の中で、吉野材や和紙のことの説明を兼ねた話でお互いの交流を図る。そしてあっという間に予定の2時間は過ぎた。それでもまだ飲み足りない・話したりない塾生は、森林組合の坂本専務所有の山小屋に移動し、夜通し吉野の話で盛り上がったようだ。

第3日目 6月22日(日)
 いよいよ塾の最終日、この日は早速素材の加工に取り組む。吉野の柱をうまく生かそうとする人。丸太をサンダーで磨く人。杉樽に穴を開けて光を通す人。割箸を幾何学模様に組み立てる人。そして前日自分で漉いた和紙をアレンジする人など様々。というのも、このあとのコンテスト展での受賞をみんなが目指しているから。賞は最優秀賞と優秀賞の他に、吉野の森を生かした作品・吉野材をうまく生かした作品・割り箸、和紙の生かし方がいいもの・吉野山の景色を表現した作品・古い町並みにマッチした作品等様々な評価があるからだ。ナンバー1を目指す人もあればオンリー1を目指して出展する人もいるのだ。
 午後3時となり塾生は途中ながらも制作を中断する。ここで作品全部を中央に並べ、1点1点を千田先生が総評してくれる。いつも思うことだが、この時点では完成度の高くない作品が、先生のアドバイスで、完成時には確実にグレードアップしている。ことこと左様に千田先生のアドバイスは皆を唸らせる。的確にいいポイントを褒め上げ、よりよくする為のワンポイントを付け加える。これは料理のスパイスのように、塾生は確実に作品にうまみを加えていく。
しかし今回はコンテストまで余り時間がなく、この中で何点出展出切るかが少し心配だった。


問い合わせ
吉野 山灯り実行委員会事務局(吉野町商工会内)
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